
三村 將
予防医療センター 特任教授
長年にわたり精神神経疾患の診療・研究・教育に携わる。認知症・老年期うつ病を中心とする老年精神医学、高次脳機能障害に関する神経心理学を専門とする。
予防医療センター 特任教授
長年にわたり精神神経疾患の診療・研究・教育に携わる。認知症・老年期うつ病を中心とする老年精神医学、高次脳機能障害に関する神経心理学を専門とする。
本研究室は慶應義塾大学予防医療センター内にあります。予防医療センターそのものの中核的なミッションは、人間ドックという比較的日本独自の医療的取り組みを通じて、がんを中心に多様な身体疾患を早期発見・早期治療することにあります。しかし、まだ現在の医学ではすべての身体疾患を完全にコントロールして健康を維持することができるわけではありません。人が健康であるとは、今日的視点からは、身体が健康であるとともに、こころも満たされている、認知機能も保たれている、さらに社会的にも適切なつながりを有しているということになります。しかし、人は必ずしも身体的にも、精神的にも、社会的にも望ましい状態が続くとは限りません。種々の症状がありながら適切な診断や治療につながらない場合や、治療しても症状が残存する場合には、精神的不調につながります。また、長期の休職や病気療養なども、社会的孤立を生じる要素となります。
このことはまさに Prince らが 2007 年の Lancet 論文で提言したとおり"No health without mental health"(メンタルヘルス抜きで健康は語れない)ということであり、日本の五大疾患(糖尿病、精神疾患、悪性腫瘍、脳血管障害、虚血性心疾患)においても、精神疾患の有病率は第2位に位置します。また、精神疾患の中ではうつ病がもっとも有病率の高い疾患になります。
このような中で、どのような健康状態、どのような環境においても、鍵となるのがレジリエンス resilience と呼ばれる概念です。一般には耳慣れない言葉ですが、日本語では「抗病力」とか「ストレス抵抗力」と訳されています。同じような逆境やストレス状態、トラウマ体験を経ても、メンタルヘルス不調に陥る人とそうでない人、ストレス抵抗力の高い人と低い人がいることはたしかです。人生の前向きな生き方(ポジティブ心理学・ポジティブ精神医学)を背景に生まれてきた概念の一つと言えます。たとえて言えば、ゴムまりを指で押したときに生じる凹みがストレス、それを跳ね返すように膨らんでくるのがレジリエンスというイメージです。
本研究室は、高次脳機能レジリエンス研究室として、慶應義塾大学予防医療センターにおいて、複数の関連したミッションを達成し、あらゆるライフステージにおけるわたるウェルビーイングの創成を目指します。研究室代表の三村はこれまで長年にわたり精神神経疾患の診療・研究・教育に携わってきました。特に、認知症・老年期うつ病を中心とする老年精神医学、高次脳機能障害に関する神経心理学を専門としています。従来の精神神経疾患に関する知識や経験をもとに、本研究室では、より広い(病気に限定しない)メンタルヘルスの増進を企図しています。それが本研究室を高次脳機能レジリエンス研究室と命名している所以です。
なお、本研究室の設立や推進に当たっては、公益財団法人 高橋産業経済研究財団から助成をいただいていることを改めてここに感謝申し上げます。
本研究室は3世代(思春期~青年期、壮年期、高齢期)すべての人たちを対象にしています。また、医学にとどまらず、あらゆる自然科学・人文科学・社会科学領域の手法を統合して、柔軟なアプローチにより目的を達成することを考えています。
3ジェネレーション(思春期~青年期、壮年期、高齢期)ごとに研究内容の紹介をいたします。
慶應義塾大学予防医療センター
hbd.info2024@gmail.com
※お問い合わせはメールでお願いします
〒106-0041
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー7階
Azabudai Hills Mori JP Tower 7th Floor, 1-3-1 Azabudai, Minato-ku, Tokyo 106-0041 Japan